【連載】橋に咲く ~ミャンマーから「北日本」へ~

ショーボンド建設北日本支社 技術部 ヌェ・ニ・リンさん

橋脚や橋台に取り付ける鋼製ブラケットの現場変更図面の作成を100件以上、手がけてきた。どの現場でも、3Dスキャナーを手に計測する。生まれ育ったミャンマーは冬でも気温20度前後だが、北海道や東北では氷点下、吹雪も。「手がちぎれそうだった」。調査は、入社12年目の長岡和真さんとペア。「慎重に正確に。ミスすると全てが手戻り。重要な仕事だ」と教わった。

父を12歳で亡くした。勉強を教えてくれる優しい人だった。「字がきれいで。私も字がうまくなったのは父のお陰」。教師の母と7つ違いの妹、祖父母と暮らした。

祖母は炭売り。大学で土木を学べたのは、そのお金があったからだ。卒業後は、海外で働きたい―。首都ヤンゴンでCADオペレーターとして腕を磨いた。

ショーボンド建設の契約社員として来日して、5年余。実家への仕送りは欠かさなかった。「自分のために使って」。そう減額を求めてくる母だ。

在社時は、オープンスペースの職場で真剣にパソコンに向かう。同僚が声をかけると一転、柔らかい笑顔に。「リン」、「リンちゃん」と親しまれている。

今年4月、正社員に採用された。コミュニケーション能力が高いと、周りは評価する。強く推したのは、共に働く長岡さん。「彼女は会社の財産。責任感が強く、構造を理解している」と。今年から、妹も日本へ。「少し貯金がある。妹に美味しいものでも」。

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橋と共に生きる女性を紹介する「橋に咲く」を随時掲載しています。

(橋梁通信2024年6月15日付掲載)

ヌェさん
ヌェさん作成の3D図面
スキャナーのターゲットをアップで
愛用のハンディタイプ3Dスキャナーを手に
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